上の3カットは2010年12月に上がったカット。深夜の病棟は暗く冷え冷えとしている。
他は数年前に描いたもので、毎年授業で見せているラッシュにも含まれている。
ラッシュの音楽は本編と同じくSさんの作曲・演奏によるもの。
メインテーマはSさんのオリジナルだが、ラッシュの最初に流れる曲は
キース・エマーソンのインフェルノに流れる静かなピアノ曲のような感じに
作ってもらった。右下のカットにあるゴースト(太陽などの光線引き)は、
モールでも映像ソフトによるものでもなく、風呂桶に水を張り、
反射した太陽光をminiDVカメラで撮影したものである。(2010.12.31)








作画を開始した当初(数年前)は、1カット1カット描き込んでいたが
さすがにそんな精神的余裕は無くなって来た。パースもかなり怪しい。
上のBGは1日に10カット近く量産したものだが、その後10日作業しないと
結局1日1カットという計算になってしまう。
最近では、デジタル撮影時、色が侵食したり、
干渉したりする事も思い知らされた。
BGは筆で描いたと判るように、生々しい痕跡を残すようにしている。
教会や喫茶店が出てくるので、この3年間、あちこちで資料用
写真を撮ったりした。しかし、いくら携帯電話やデジタルカメラ
で写真を撮っても、それを見ながら描く習慣が無いので、
結局、昔のように紙焼きの写真か、書籍類を見る事になる。
一番右下のトランスジェンダーの人は、たまたま「じゃまーる」
という15年ぐらい前の情報誌を見ていたら、印象的な顔写真が
載っていたのでその写真を見ながら描いた。
右上は抱き合っているのではなく、グループの伝統で
軽くハグをしているところである。(2010.11.29)









ロール2A棒焼より抜粋。2h=1000カットもあるので
描いても描いてもなかなか先が見えない。
ただ、毎日少しでも作業を前に
進める事だけは心がけている。

最初の5カットは数年前に描いた物。
ご存知の方もいらっしゃると思うが、精神科では問診表
(上の絵)の他、もう一種類の用紙を渡す場合がある。
これがこの物語を大きく左右するキーワードにもなる。

1カット目は、めずらしくパソコンのみで作画している。
4カット目は水道橋付近にある某ビルがモデル。
市民団体などのデモ行進は、銀座付近で行なわれる場合が多い。
流れ解散点の近くにある2つの店をモデルにしたのが5カット目。
他のシーンもすべて住所設定とロケハンを行なっている。
ラスト4カットは今年に入って上げたもの。

色彩は初期東映動画の影響である。(具体的には美術+
スタックの絵の具+十分な照明+富士フィルムの組み合わせ)

本作はアニメーションではない。都市投影劇画というジャンル名を持つ。
いくら情宣段階で呼称を徹底してもらおうと頑張っても、こういう
絵柄にしてしまうと、決まってディアはアニメと紹介してしまう。

完成はまだ何年も先だが、社会における様々な問題を
公民館等の市民上映や、様々なネットワークなどを通じて
共に考える集いが持てればと考えている。(2010.11.5)











8月〜9月にかけて上がったカットより。
1996年にプレスコしてあるので、音声部分はほぼ完成している。
予算が無いので、当時の友人・知人、ボランティアスタッフ、
小劇団員、自主系監督ら、多くの人に出演してもらった。
右上の男性は、知人の監督O氏。
ガロに連載されていた劇画を基にしているが、
結局、ガロを連想させる映像にはならなかった。
試行錯誤の結果、長時間の鑑賞に耐え得るようにし、なおかつ
スピーディに仕上げるにはこの方法しかなかった。
撮影・編集は、60〜70年代の邦画の継承を心がけている。
一見いわゆる「アニメ風」に見えるが、本作は動かす事を
目的としていないので、アニメーションとは呼称せず
別のジャンル名を用いるのが礼儀であろう。(2010.9.24)








現在製作中の作品の中のひとつ。ここでは公開できないが、
ある劇画を原作にした社会問題や未来社会への
メッセージ満載の大人のための紙芝居ドラマ。
最初の4カットはごく最近上がったもの。
後の2カットは数年前の物だが、横浜・山下公園まで
埠頭際の波のSEを録りに行った。他にも、様々な場所に、
光や音のロケに出向いている。

近年アニメーションにも、新自由主義的思惑が絡み始め、
様々な利権や規制、戦略などが登場しはじめた。
新産業構造が、一般市民のほとんど知らない所で推し進めらた。
そこでは、アニメは儲けと世界戦略の道具のみになる場合が多く、
作品ではなくコンテンツと呼称され、その戦略の推進には
一部の快楽追求が利用され、違法労働も正当化が試みられた。

そういう状況の中、企業で作れない作品は個人で作るしかない。

幼児期の心理的外傷、成人後の鬱病や児童虐待などの問題、
戦争や差別の問題は、死ぬ前にどうしても訴えておきたい。

しかし、普通に生活するだけでも厳しい時代。
上映時間が2時間と長尺の上、生活費を稼ぐ仕事の傍ら、
空いた時間に1人で全工程の作業を行なっているので、
現在まで、14年の作業年数が経過しており
完成までには、さらに6〜10年ほどかかる予定。(2010.8.20)


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